建設業許可の用語説明

建設業許可の用語説明になります。経営業務の管理責任者や専任技術者の経験、軽微な工事等について紹介致します。

経営業務の管理責任者とその経験

経営業務の管理責任者とは、建設業の経営業務について総合的に管理する経営側の責任者になります。尚、経営業務の管理責任者としての経験とは、営業取引をする上で対外的な責任がある地位(法人の代表取締役・取締役や個人事業主等)にあって、建設業の経営業務について総合的に管理・執行した経験をいいます。

専任技術者と実務経験

専任技術者とは、請負契約の適正な締結や工事の履行を技術面から確保するために営業所に常勤し、専らその業務に従事する者をいいます。専任技術者になるには一定の資格や実務経験が必要とされています。尚、専任技術者における実務経験とは、建設業許可を取得しようとする建設工事に関する技術上の経験をいい、建設工事の施工を指揮・監督した経験や実際に建設工事に携わった経験はもちろん、建設工事の注文者として設計に従事した経験等も含まれます。ただし、工事現場の雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。また、原則として電気工事及び消防施設工事における無資格者の実務経験は、電気工事士法及び消防法の規定により認められていません。

建設業法とは?

建設業は様々な法律によって規制されていますが、その中でも重要なのが建設業法です。建設業法は、建設業に関する基本的な法律で昭和24年に制定されました。終戦後、建設業者の乱立と苛烈な競争が発生し、中には不当に低い請負価格で工事を行う者もいました。これが不正工事を引き起こす原因となり、世の中では様々な弊害が起こりました。建設業法は、これらの状況に対する対策として制定されました。建設業法には大きく以下の4つの目的があり、目的1~3の実現を目指すことで、最終的な目的(目的4)である社会全体の利益に貢献しようというものです。

  1. 建設工事の適正な施工を確保する。
  2. 発注者を保護する。
  3. 建設業の健全な発達を促進する。
  4. 公共の福祉に寄与する。

指定建設業とは?

以下の7つの建設業は、その施工技術の総合性等を考慮して指定建設業として定められています。指定建設業については、実務経験や一般建設業許可のみ専任技術者になれる資格を用いて特定建設業許可の専任技術者になることは認められていません。

  • 土木一式工事
  • 建築一式工事
  • 電気工事
  • 管工事
  • 鋼構造物工事
  • 舗装工事
  • 造園工事

社会保険とは?

建設業許可において加入が必要な社会保険とは、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」のことを指します。健康保険や厚生年金は、法人であれば原則加入が必要です。また、個人事業主の場合は、家族を除く従業員が5人以上の場合には原則加入が必要となります。尚、雇用保険に関しては、法人・個人事業主に関わらず1人でも労働者を雇っている場合は、加入が必要です。

請負とは?

当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束する契約のことをいいます。つまり、何かの建設工事を完成させることで報酬を得るのであれば請負ですが、例えば単に職人を工事現場に派遣する「人工出し」は請負にはあたりません。尚、人工出しは「労働者派遣」として、労働者派遣法や職業安定法に抵触する恐れがあります。

令3条使用人とは?

建設業法施行令第3条に規定する使用人のことをいい、支配人や営業所長・支店長等などのことを指します。

軽微な工事とは?

軽微な工事とは、1件の請負代金が税込500万円未満の建設工事(建築一式工事では、税込1,500万円未満の工事または木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事)をいいます。

附帯工事とは?

附帯工事とは許可を取得している主たる建設工事に従として附帯する他の建設工事をいいます。例えば、電気工事の許可を取得している者が、建築物の電気配線工事を請け負うにあたり内装を一部工事する必要があったとします。その場合、主たる工事(電気工事)に従として附帯する工事(内装仕上工事)については、許可を取得していない場合でも、主たる工事と一体として請け負うことができます。

建設工事とは?

建設工事は、土木建築に関する29種類の工事をいい、一式工事と専門工事に分かれています。一式工事とは、原則として元請業者の立場で総合的にマネージメント(企画、指導、調整等)を行う大規模かつ施工内容が複雑な工事をいい、土木一式工事と建築一式工事の2種類があります。また、専門工事とは一式工事以外の27種類の工事をいいます。

自己資本とは?

財産的基礎・金銭的信用を満たす上で求められる自己資本は、一般建設業許可では500万円以上。特定建設業許可では、4,000万円以上となっています。自己資本は、以下の計算式で求められます。

  • 法人:自己資本=純資産合計
  • 個人:自己資本=(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金

欠損比率とは?

特定建設業許可において財産的基礎・金銭的信用を満たすためには、欠損比率が20%以下であることが求められています。欠損比率は、以下の計算式で求められます。

  • 法人:欠損比率={繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く))}÷資本金×100
  • 個人:欠損比率={事業主損失-(事業主借勘定-事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)}÷期首資本金×100

流動比率とは?

特定建設業許可において財産的基礎・金銭的信用を満たすためには、流動比率が75%以上あることが求められています。流動比率は、以下の計算式で求められます。

  • 法人・個人:流動比率=流動資産合計÷流動負債合計×100

不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者とは?

建築士法、宅地建物取引業法等の規定により不正又は不誠実な行為を行い免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者は、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者として取り扱われます。

指導監督的実務経験とは?

建設工事の設計又は施工の全般について、元請として工事現場監督のような立場で工事の技術面を総合的に指導した経験をいいます。